「名前?
そういうあんたの名前はなんていうのよ?」
何だかイライラする聞かれ方だ。
ハムスターとタメ口・・・むしろ相手の方が上からの口調だからだろう。
しかし、そうも言ってられないので、落ち着きを取り戻し何とか冷静に話を進めようとした。
「俺の名前は藤島拓哉(ふじしまたくや)
あなたの名前は?」
なるべく丁寧に丁寧に聞いた。
「私?・・・名前はないわ。」
「勘違いしないでよ?人間につけられた名前がないってことよ。
みんなからはエリザベスって呼ばれていたわ。」
ぷっ!!
思わず笑ってしまった。
そしてすぐに後悔する。
いてぇ!!!!!!!
ものすごくピンポイントで「すね」を噛まれた。
「何がおかしいのよ!!」
何とか笑いと痛みを耐えて、話を戻す。
「で、エリザベスはどうして外にいたんだ?」
「逃げてきたのよ、前の飼い主から。」
その後しばらく生い立ちを聞いていた。
話してくれた内容をまとめると、生まれはペットショップ。
以前飼われていた家ではヘビのえさの一匹だった。
そして隙を見て逃げてきたということ。
そのため2日ほど何も(まともなものを)食べていないらしい。
で、今ご飯を要求されている。
気付けばもう夜中の2時を回っている。
明日が土曜日であることが唯一の救いか。
「ちょっと、何か食べるもの頂戴よ!」
ワガママ全開のエリザベスがキッチンの俺に対し大声をあげる。
「変なもの出したら承知しないんだから!!」
ちょうどお腹が空いたのもあり、俺も夜食を食べることにした。
ところがだ。
キッチンのどこを見てもハムスターが食べれそうなものなんてない。
そもそもハムスターが食べるものってなんだ??
ひとまず、いろいろ探してみてわかったことは家には保存食(レトルトとも言う)しかない。
ま、一人暮らしの男の家なんてそんなもんだ。
冷蔵庫には賞味期限切れの調味料と、3ヶ月前の卵。
その他もろもろ(笑)
はっきり言って、見なきゃよかった生モノまで出てきた。
「笑えんな。」
さて、とりあえずカップ麺のお湯を沸かしつつも、他にも何かないか探してみることにした。
探しに探した結果が缶詰。
フルーツ缶。
これで許されるかどうかわからんが、一応自分の分のカップ麺と、エリザベスの分のフルーツ缶を持って部屋に戻った。
戻ると、テレビの音だけが聞こえる。
人間のお尻がすっぽり入る赤いビーズクッションのど真ん中で、エリザベスはもふもふと寝ていた。
起こさないようにそっとテーブルの上にカップ麺とフルーツ缶を置き、とりあえず夜食をとることにした。
「まぁ・・・ハムスターもこれだけ可愛いと飼いたくなるよなぁ」
あまりにも素直な心から出た言葉だった。
そうつぶやいた。つぶやいてしまった。
「じゃあ、しばらくここにいるわ!!」
・・・ハムスターのタヌキ寝入り。
ものすごくしまった感があったのは気のせいだろうか。
こいつは一筋縄ではいかない・・・悟った。
エリザベス…(* ̄m ̄)ノ彡_☆ばんばん
作者さんも、こんなハムスター娘?欲しかったりして。。。